睡眠薬の自殺リスクは?

成人における慢性不眠症の薬理学的治療のためのガイドラインでは、エビデンスが不十分であるにもかかわらず、トラゾドン(商品名:レスリンほか)や他の適応外投与が一般的に行われているとされる。退役軍人保健局(VA)では、ベンゾジアゼピンやゾルピデム(マイスリーほか)に加え、市販の鎮静性抗ヒスタミン薬、古い抗うつ薬などの安価な薬剤が大量に使用されている。これら薬剤の自殺行動に関する安全性の比較については、十分にわかっていない。米国・Canandaigua VA Medical CenterのJill E. Lavigne氏らは、VAにおいて、不眠症治療に一般的に使用されている薬剤の安全性について比較を行った。Journal of General Internal Medicine誌オンライン版2019年6月3日号の報告。

本研究は、傾向スコア一致サンプルを用いた効果比較研究である。対象は、初回薬物投与の12ヵ月前までに自殺念慮または自殺行動が認められず、不眠症治療薬未使用で不眠症を発症し、VAにおいて単剤治療を行った患者。薬物治療後、12ヵ月以内に多剤併用または切り替えを行った患者は除外した。VAでの処方およびデータを用いて、不眠症に対する薬理学的治療を特定した。すべての不眠症治療において、1%以上を占める薬剤は、トラゾドン200mg未満、ヒドロキシジン(アタラックスほか)、ジフェンヒドラミン(レスタミンほか)、ゾルピデム、ロラゼパム(ワイパックスほか)、ジアゼパム(セルシン、ホリゾンほか)、temazepamであった。主要アウトカムは、初回薬物投与から12ヵ月以内の自殺未遂とした。

主な結果は以下のとおり。

・基準を満たした患者34万8,449例を、ゾルピデムと一致した薬物クラスにより3つのバランスの取れたコホートを作成した。
・投与量、メンタルヘルス健康歴、疼痛薬と中枢神経系薬の投与歴で調整した後、ゾルピデムと比較したハザード比は以下のとおりであった。
●トラゾドン200mg未満(HR:1.61、95%CI:1.07~2.43)
●鎮静性抗ヒスタミン薬(HR:1.37、95%CI:0.90~2.07)
●ベンゾジアゼピン系薬(HR:1.31、95%CI:0.85~2.08)

著者らは「自殺未遂リスクは、トラゾドン200mg未満において、ゾルピデムと比較し、61%高かった。鎮静性抗ヒスタミン薬とベンゾジアゼピン系薬では、有意な差が認められなかった」としている。

出典

Lavigne JE, et al. J Gen Intern Med. 2019 Jun 3. [Epub ahead of print]

コメント

タイトルとURLをコピーしました