遅発性ジスキネジアへの対処に新たな知見

遅発性ジスキネジア(TD)は遅延的かつ潜在的に不可逆的な運動合併症であり、抗精神病薬やメトクロプラミド(商品名:プリンペランほか)などの中枢ドパミンD2受容体拮抗薬を慢性的に投与された患者において発現することがある。TDにおける古典的なドパミンD2受容体過敏仮説は、げっ歯類の研究に端を発しており、ヒトにおける証明は不十分なままである。カナダ・モントリオール大学のSouha Mahmoudi氏らは、TDの神経科学的基礎調査を行うため、霊長類を用いた研究を行った。
Movement disorders誌オンライン版2014年5月16日号の報告。

オマキザルにハロペリドール(セレネースほか、中央値:18.5ヵ月、n=11)またはクロザピン(クロザリル、同6ヵ月、n=6)を慢性的に投与した。また、非薬物治療群(n=6)を対照として用いた。線条体ドパミンD1、D2、D3受容体レベルの測定には受容体オートラジオグラフィーを用いた。また、線条体におけるD3受容体/プレプロタキキニンmRNAの共発現およびプレプロエンケファリンmRNAレベルの定量化を調べた。

主な結果は以下のとおり。

・ハロペリドール群では5例で軽度のTDが認められた。
・クロザピン群ではTDは認められなかった。
・クロザピン群と異なり、ハロペリドール群では、前方尾状核被殻内のドパミンD3受容体を強く誘導した。とくに、TDを発現した群においては、結合レベルとTDの強度に正の相関が認められた。
・D3受容体のアップレギュレーションは、黒質線条体系の神経細胞で観察された。
・一方、D2受容体結合は対照群と同等であり、D1受容体結合は、前方被殻で減少した。
・エンケファリンmRNAはどの群においても増加していたが、TDが発現していない群ではより広い範囲で増加していた。

以上の結果より、著者らは「霊長類において線条体D3受容体のアップレギュレーションとTDの相関が初めて示され、ドパミン受容体過敏仮説に新たな洞察が加わると考えられる。このことから、D3受容体は、TDの薬物介入における新規標的となりうることが示唆された」としている。

出典

Mahmoudi S, et al. Mov Disord. 2014 May 16.

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