統合失調症リスク、遺伝と子供の頃の環境の影響は

 小児期における緑地環境との接点が、後の統合失調症発症リスクを低下させることは、これまでの研究で示唆されてきた。この関連に遺伝的要因は関係するのか、または2つのリスク因子が相加的に作用するのかは、よくわかっていない。デンマーク・オーフス大学のKristine Engemann氏らは、統合失調症発症に対する小児期の緑地環境と遺伝的要因との関連について調査を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2020年5月16日号の報告。

 ランドサット衛星画像からの正規化植生指数(NDVI)に基づく住居レベルの緑地との小児期の接点推移値と、デンマークのiPSYCHサンプルから得られた1万9,746の遺伝子型の多遺伝子リスクスコアに基づく遺伝的易罹病性推定値を組み合わせることにより、統合失調症発症のハザード比(HR)を調査した。デンマーク国内の健康、居住地、社会経済的地位(両親の社会経済的地位、精神疾患の家族歴)に関するデータを用いて、交絡因子で調整後のHRを推定した。

主な結果は以下のとおり。

・調整HRは、NDVIの最低位と比較し最高位では統合失調症発症リスクが0.52倍(95%CI:0.40~0.66)に低下し、多遺伝子リスクスコアが最高位の小児では、統合失調症発症リスクが1.24倍(95%CI:1.18~1.30)であることを示した。

・NDVIは、遺伝的易罹病性尺度の分散の1.45%(95%CI:1.07~1.90)で説明でき、統合失調症の多遺伝子リスクスコアは1.01%(95%CI:0.77~1.46)であった。

・遺伝的および環境的要因を組み合わせた場合の多遺伝子リスクスコアは、2.40%(95%CI:1.99~3.07)であった。両要因の相互作用は示唆されなかった(p=0.29)。

 著者らは「統合失調症発症リスクは、緑地環境との接点と遺伝的要因の相加的な関連が認められ、NDVIと統合失調症との間には、遺伝的および環境的な相互作用は認められなかった」としている。

出典

Engemann K, et al. Schizophr Bull. 2020 May 16. [Epub ahead of print]

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