統合失調症と双極性障害の鑑別診断に役立つポイントは

 初回エピソード精神病(FEP)コホートにおける双極性障害と統合失調症の診断予測に役立つ可能性のあるベースライン特性と臨床的特徴を特定するため、スペイン・バルセロナ大学のEstela Salagre氏らが、検討を行った。The Journal of Clinical Psychiatry誌2020年11月3日号の報告。

 本研究は、2009年4月~2012年4月に募集したFEP患者355例のコホートを評価したプロスペクティブ自然主義的研究である。12ヵ月のフォローアップ期間にDSM-IV診断で最終的に双極性障害および統合失調症と診断された患者のベースライン特性を比較した。フォローアップ時の双極性障害診断の予測因子を評価するため、バイナリロジスティック回帰モデルを用いた。

主な結果は以下のとおり。

・12ヵ月のフォローアップ期間に双極性障害と診断された患者は47例、統合失調症と診断された患者は105例であった。

・最終的に双極性障害と診断された患者は、統合失調症と診断された患者と比較し、以下の割合が有意に高かった。
 ●気分障害の家族歴:有病率38.2% vs.18.0%(p=0.02)
 ●より良好なベースライン時の病前適応:病前適応尺度(PAS)38.4 vs.50.6(p<0.01)
 ●より良好な心理社会的機能:簡易機能評価検査(FAST)23.6 vs.33.7(p=0.001)
 ●より良好な認知的柔軟性:ウィスコンシンカード分類検査(WCST)の誤答数14.2 vs.19.7(p=0.01)
 ●躁症状の多さ:ヤング躁病評価尺度(YMRS)14.1 vs.7.3(p<0.01)
 ●陰性症状の少なさ:陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)陰性症状尺度15.0 vs.22.3(p<0.001)
 ●精神疾患の未治療期間の短さ:144.2日 vs.194.7日(p<0.01)

・バイナリロジスティック回帰モデルでは、フォローアップ時の双極性障害診断と有意に関連していた因子は以下のとおりであった。
 ●FASTスコアの低さ(オッズ比[OR]:0.956、p=0.015)
 ●PANSS陰性症状スコアの低さ(OR:0.93、p=0.048)
 ●WCSTの誤答数の少なさ(OR:0.946、p=0.35)

 著者らは「FEPコホートにおいて12ヵ月のフォローアップ時に双極性障害診断と関連が認められた因子は、より良好な心理社会的機能、陰性症状の少なさ、より良好な認知的柔軟性であった」としている。

出典

Salagre E, et al. J Clin Psychiatry. 2020;81:19m12996.

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