肥満や代謝異常は抗精神病薬の変更で改善するのか

 重症精神疾患患者では、肥満や代謝により臨床的な悪影響が懸念されるが、これを予防できる可能性がある。心血管代謝の負担を軽減するうえで、抗精神病薬の切り替えが有用かを、オーストラリア・クイーンズランド大学のDan Siskind氏らが検討を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2021年2月6日号の報告。

 2020年3月8日までの文献をPubMED、Embase、PsycINFO、Cochraneより検索した。抗精神病薬切り替え群と継続群における体重および代謝変化を比較するため、群全体と群内でのメタ解析を実施した。

主な結果は以下のとおり。

・抽出された61研究のうち、59研究をメタ解析に含めた(エビデンスの質高評価40%)。

・切り替え群と継続群を比較したメタ解析では、アリピプラゾール(商品名:エビリファイほか)のみが体重を有意に減少させた(-5.52kg、95%CI:-10.63~-0.42、p=0.03)。一方、オランザピン(ジプレキサほか)は、体重を有意に増加させた(2.46kg、95%CI:0.34~4.57、p=0.02)。

・アリピプラゾールへの切り替えにより、空腹時血糖(-3.99mg/dL、95%CI:-7.34~-0.64、p=0.02)およびトリグリセライド(-31.03mg/dL、95%CI:-48.73~-13.34、p=0.0001)の有意な改善が認められた。

・アリピプラゾールおよびオランザピンによる切り替え群と継続群において、治療中止と精神症状の評価に違いは認められなかった。

・切り替え後のメタ解析では、体重減少との関連が認められた薬剤はアリピプラゾール(-1.96kg、95%CI:-3.07~-0.85、p<0.001)、ziprasidone(-2.22kg、95%CI:-3.84~-0.60、p=0.007)であった。一方、体重増加と関連が認められた薬剤は、オランザピン(2.71kg、95%CI:1.87~3.55、p<0.001)、クロザピン(クロザリル、2.80kg、95%CI:0.26~5.34、p=0.03)であった。

・amisulpride、パリペリドン、リスペリドン(リスパダールほか)、クエチアピン(セロクエルほか)、ルラシドン(ラツーダ)に切り替えた場合、体重およびその他の心血管代謝に有意な影響は認められなかった。

 著者らは「アリピプラゾールやziprasidoneのような体重増加リスクの低い抗精神病薬に切り替えることにより、体重プロファイルや心血管代謝を改善することが可能である。抗精神病薬の切り替えを行う際には、切り替え前後の体重増加リスクを考慮する必要がある。精神症状の安定している患者に対する抗精神病薬の切り替えは、症状悪化リスクを鑑み検討すべきである」としている。

出典

Siskind D, et al. Schizophr Bull. 2021 Feb 6. [Epub ahead of print]

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