気分安定薬が必要な統合失調症患者の特徴

 精神疾患に対する抗精神病薬と気分安定薬の処方状況や投与量を調査した研究は、これまであまりなかった。シンガポール・精神衛生研究所のWai Kwong Lim氏らは、限られた既存のデータと臨床経験に基づき、補助的な気分安定薬の使用と人口統計(年齢など)、臨床的要因(罹病期間など)、抗精神病薬治療の特徴(併用や高用量など)との関連について調査を行った。Human Psychopharmacology誌オンライン版2020年8月1日号の報告。

 本研究は、統合失調症の薬物疫学的要因に焦点を当てたアジアリサーチコンソーシアム内で実施された。気分安定薬の併用率や高用量(リチウム換算量1,000mg/日超)、臨床相関などを評価した。

主な結果は以下のとおり。

・対象は、アジア14ヵ国で統合失調症と診断された患者3,557例。

・気分安定薬と抗精神病薬が併用されていた患者は485例(13.6%)であった。

・高用量の気分安定薬が処方されていた患者は53例(10.9%)であった。

・補助的な気分安定薬の使用と関連していた因子は以下のとおりであった(すべてp<0.005)。
 【人口統計学的要因】女性、若年
 【社会的要因】国、入院
 【疾患関連要因】罹病期間の長さ、入院回数の多さ、非寛解、解体行動、攻撃性、感情症状、社会的職業機能障害
 【治療関連要因】高用量の抗精神病薬、抗精神病薬の多剤併用、高BMI、鎮静作用の強さ

・高用量の気分安定薬を投与された患者は、疾患経過が不良で、解体行動や機能低下の頻度が高く、抗精神病薬の投与量がより多かった。

 著者らは「アジアの精神科医療施設で、補助的な気分安定薬が処方されている統合失調症患者はより重症であり、シンプルな治療レジメンへの反応性が低いことが示唆された」としている。

出典

Lim WK, et al. Hum Psychopharmacol. 2020 Aug 1. [Epub ahead of print]

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