メタボリスクの高い精神疾患患者、治療選択時には薬剤リスクにも注意を

統合失調症および関連精神障害、双極性障害や大うつ病性障害を有する患者のメタボリックシンドローム(MetS)およびその構成症状(肥満、高血圧、HDLコレステロール低値など)のリスクについて、ベルギー・ルーヴェン・カトリック大学のDavy Vancampfort氏らはシステマティックレビューとメタ解析を行った。その結果、重症の精神疾患を診断されたサブグループでは、MetSのリスクが同程度に上昇がみられることを明らかにした。著者らは、「これらの人には、ルーチンのスクリーニングと多職種専門家による内科的・行動マネジメントが必要である。また、治療選択の際には、個々人の抗精神病薬リスクを考慮しなければならない」と述べている。World Psychiatry誌2015年10月号の掲載報告。

研究グループは、MetSおよびその構成症状が心血管疾患を高度に予測するとして本検討を行った。主要目的は、統合失調症および関連精神障害、双極性障害、大うつ病性障害を有する人のMetSとその構成症状の有病率を調べ、人口統計学的変数および精神科薬物療法を考慮したうえで、異なる精神障害間で比較することであった。副次目的は、選択した精神障害を有する患者のMetS有病率を適合した一般集団(対照)と比較することであった。レビューは2人の著者が、2015年1月1日時点でMEDLINE、PsycARTICLESなどで論文を検索し、包含基準を満たした論文のデータをプールし分析した。

主な結果は以下のとおり。

・429件の論文が検索され、198件が包含基準を満たした。最終サンプル比較対象の重症の精神疾患(SMI)患者は5万2,678例であった。平均年齢41.3歳、平均罹病期間は12.4年。喫煙頻度が報告されていたのは1万2,560例で、喫煙率は50.4%であった。平均BMIは27.3であった。
・これらSMIのMetS有病率は、32.6%(95%信頼区間[CI]:30.8~34.4%)であった。
・異なる精神障害間の有病率を比較した相対リスクのメタ解析では、統合失調症 vs.双極性障害(39.2% vs.35.5%、10試験、相対リスク[RR]:0.92、p=0.24)、また双極性障害 vs.大うつ病性障害(29.2% vs.34.0%、4試験、RR:0.87、p=0.64)における有意差は示されなかった。統合失調症 vs.大うつ病性障害の比較試験は2件のみで、メタ解析ができなかった。
・最終の人口統計学的回帰モデルにおいて、高年齢、BMI高値が、有意なモデレーターであることが示された(z=-3.6、p=0.0003、r2=0.19)。
・抗精神病薬治療を受けていた人は、未治療群と比較して、MetSリスクが有意に高かった(p<0.001)。
・MetSリスクは、クロザピン(商品名:クロザリル)、次いでオランザピン(ジプレキサほか)服用群で他の抗精神病薬服用群よりも有意に高かった。一方、アリピプラゾール(エビリファイほか)服用群のリスクは、他の抗精神病薬(amisulprideを除く)よりも有意に低かった。
・適合一般集団対照との比較において、SMI患者は、MetSリスクが有意に高かった(RR:1.58、95%CI:1.35~1.86、p<0.001)。また、MetS構成症状リスクは、高血圧(p=0.07)以外は有意に高かった。

出典

Vancampfort D, et al. World Psychiatry. 2015;14:339-347.

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