抗精神病薬による高プロラクチン血症は乳がんを増加させるのか

最近のメタ解析で、統合失調症女性患者では一般集団と比べ乳がんが多いことが示され(エフェクトサイズ=1.25、p<0.05)、実験および疫学データの蓄積により、乳がん発症におけるプロラクチン(PRL)の影響について、研究者らに注意が促されていた。ベルギーのルーヴェン・カトリック大学精神科医療センターのM. De Hert氏らは、統合失調症女性患者における抗精神病薬誘発性の高プロラクチン血症(HPRL)と、乳がんリスクとの関連について批判的レビューを行った。その結果、PRLが乳がんの発症に関連するという明確なエビデンスは示されなかったことを報告した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2015年6月26日号の掲載報告。

検討は、MEDLINE データベースを用い、英語で公表された臨床試験について文献検索(1950年から2015年1月まで)を行い、統合失調症女性における乳がんリスク(ファクター)と、HPRLおよび抗精神病薬治療との関連に関わる現在の認識に関するデータを特定、統合した。

主な結果は以下のとおり。

・乳がん発症におけるPRLの関与を支持するエビデンスが増えているが、ヒトにおけるプロスペクティブ研究の結果は限定的、あいまい、そして相関的(リスク比の範囲、閉経前女性:0.70~1.9、閉経後女性:0.76~2.03)なデータが混在していた。
・さらに、局所のオートクリン/パラクリンPRL loopの増幅または過剰発現が腫瘍形成においてより重要なメカニズムであるにもかかわらず、これらの研究では乳房上皮におけるPRLの局所産生が考慮されていなかった。
・今のところ、抗精神病薬が乳房悪性腫瘍および死亡リスクを増加させうるという決定的なエビデンスについても得られていない。
・未経産、肥満、糖尿病および不健康な生活習慣(アルコール依存、喫煙、低い身体活動性)といったPRL以外の乳がんリスクファクターが、統合失調症女性における個々の乳がん症例により大きく関連している可能性があった。

出典

De Hert M, et al. Acta Psychiatr Scand. 2015 Jun 26. [Epub ahead of print]

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