抗精神病薬の併用率が高い日本の統合失調症治療の現状

 2015年に日本神経精神薬理学会より「統合失調症薬物治療ガイドライン」が発行された。そして、精神科医に対してガイドラインの教育の講習を行い、ガイドラインの効果を検証する研究を行う精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究(EGUIDE)プロジェクトが開始されている。本研究では、統合失調症治療のベースラインの状態を確認するため、EGUIDEプロジェクトのガイドライン講習開始前における治療薬処方の品質指標が報告された。

 東京大学の市橋 香代氏らによる、Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年6月30日号の報告。

 退院時の統合失調症患者1,164例の診療記録から、すべての向精神薬の種類および投与量に関するデータを収集した。

その結果、向精神薬の併用状況は以下のとおりであった。
 ●抗精神病薬の多剤併用:43%
 ●抗うつ薬の併用:8%
 ●気分安定薬の併用:37%
 ●抗不安薬または睡眠薬の併用:68%

 今後、EGUIDEプロジェクトによるガイドラインの教育講習により、この値がどのように変化するか期待される。

出典

Ichihashi K, et al. Neuropsychopharmacol Rep. 2020 Jun 30. [Online ahead of print]

 また、別の研究において、統合失調症治療における抗精神病薬の最近の傾向が報告された。

 獨協医科大学の古郡 規雄氏らによる、Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年7月16日号の報告。

主な結果は以下のとおり。

・日本の統合失調症患者に使用された抗精神病薬の数は、アジア諸国の中で最も高かった。

・しかし、日本における抗精神病薬の多剤併用率は、減少傾向にあった。

・最近のシステマティックレビュー、メタ解析、メタ回帰分析では、抗精神病薬の増強療法は、単剤療法よりも優れていることが報告されている。

・一方で、いくつかのコホート研究において、抗精神病薬の1日投与量と死亡率との有意な関連も示唆されている。

・また、抗精神病薬の多くの相互作用は、代謝レベルで起こっており、主要な薬物代謝酵素の活性に関連している。

 著者らは「抗精神病薬が投与されている患者の潜在的な薬物相互作用を防止および最小化するためには、不要な多剤併用を回避し、各薬剤の相互作用プロファイルを理解し、治療なん脳と血中薬剤濃度の評価に基づく個別化された投与量の設定が求められる」としている。

出典

Yasui-Furukori N, et al. Neuropsychopharmacol Rep. 2020 Jul 16. [Online ahead of print]

コメント

タイトルとURLをコピーしました