最適な投与量を決定する方法、新薬の用法用量はどのように設定されているのか

フランス・聖マルグリット病院のN. Simon氏らは、新規薬剤の投与量設定におけるファーマコメトリクス分析の応用について概説した。その主旨は、臨床の場で直面しうる、すべての状況での薬剤反応を把握することが重要であり、その手段としてファーマコメトリクス分析が利用可能ということである。具体的には、過剰曝露を避けつつ最大限の効果を達成する投与量の決定に、薬物動態(PK)モデリング、薬力学(PD)モデリング、そしてPK-PDモデルリングというステップを踏み、最終的にモンテカルロ・シミュレーションを実施して最適な投与量が決定されるという。Encephale誌オンライン版2015年3月9日号の掲載報告。

新規に開発した薬剤の市場への導入許可を求めている(医薬品販売承認申請)製薬会社には、特定の報告を行うためさまざまな研究の実施が求められる。しかしながら、臨床の場で直面しうるすべての状況での薬剤反応を把握するためには、結果をいかに利用するかが重要である。そこで、これらのデータ開発がファーマコメトリクス分析によって現在進行中である。ファーマコメトリクスとは、経時的な薬剤曝露および薬剤反応の数量化を目的としたもので、メソッド(”population approach”と呼ばれている)は、非線形混合効果モデルひいては数学的モデルによる同定に基づくものだという。

具体的な手段は以下のとおり。

・第1段階では、患者の生理病理学的特性を統合し、経時的濃度における変動をモデル化する。この段階では、ベイズ分析が個人間変動に関する因子の特定・選択に不可欠である。このPKモデリングにより各患者に処方すべき投与量と曝露量を把握できる。
・第2段階は、曝露と効果の関係を明確化する、すなわちPDモデリングである。精神医学領域では、経時的な受容体の占有率あるいは臨床スコア(BPRS、PANSSなど)が薬剤反応を反映することになる。
・PK-PDモデルでは、目標曝露量、つまり、過剰曝露を避けつつ最大限の効果を達成するために必要な濃度値を決定する。
・最終的には、さまざまな投与量に対する期待反応をテストし、投与量に関する合理的数値の選択を促すモンテカルロ・シミュレーションが実施されることになる。
・アリピプラゾール(商品名:エビリファイほか)のように、当初開発された経口剤から持効性注射剤を開発する過程での評価は、同様のプロトコルに従って実施可能である。実際、アリピプラゾール1日10~30mgの治療域はこのようにして特定された。
・本モデルはアリピプラゾールのすべての変動因子(薬物相互作用およびチトクロームP450 2D6の遺伝子多型)を組み込んでおり、持続性注射剤という剤形によって、1ヵ月に1回400mgの投与量で90%の患者が治療域を達成できた。
・薬剤阻害または代謝速度(あるいはその両方)が遅い場合には、投与量の調整が必要である。

出典

Simon N, et al. Encephale. 2015 Mar 9. [Epub ahead of print]

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