インターネット依存、メンタルヘルスへの影響度は?

 インターネット依存症は、メンタルヘルスに影響を及ぼす世界的な問題となっている。しかし、どの程度の影響が懸念されるかは、コンセンサスが得られていない。中国・四川大学華西病院のWanjun Guo氏らは、インターネット依存症の重症度がメンタルヘルスにどのような悪影響を及ぼすかについて、調査を行った。Journal of Medical Internet Research誌2020年8月11日号の報告。

 2015~18年の四川大学1年生を対象に調査を実施した。完全回答率は、85.13%(3万7,187人中3万1,659人)であった。インターネット依存症を評価するため、ヤングのインターネット依存度テスト20項目(IAT)、こころとからだの質問票(PHQ-15、PHQ-9)、症状チェックリスト-90(SCL-90)、Kessler Psychological Distress Scale(K6)、自殺行動アンケート改訂版を用いた。また、4つの精神病理学的症状(身体症状の重症度、臨床的なうつ病、精神疾患の傾向、パラノイア)、重度の精神疾患、生涯自殺念慮について評価した。

主な結果は以下のとおり。

・インターネット依存症の重症度別の有病率は、以下のとおりであった。
 ●軽度:37.93%(1万2,009人)
 ●中等度:6.33%(2,003人)
 ●重度:0.20%(63人)

・各症状や自殺関連の有症率は、以下のとおりであった。
 ●重度の身体症状:6.54%(2,072人)
 ●臨床的なうつ病:4.09%(1,294人)
 ●精神疾患の傾向:0.51%(160人)
 ●パラノイア:0.52%(165人)
 ●重度の精神疾患:1.88%(594人)
 ●生涯自殺念慮:36.31%(1万1,495人)
 ●自殺計画:5.13%(1,624人)
 ●自殺企図:1.00%(315人)

・インターネット依存症でない学生における4つの精神病理学的症状、それらの合併、自殺に関する有症率やオッズ比(OR)は、調査対象者の平均レベルよりも非常に低かった。

・軽度のインターネット依存症の学生における各症状や自殺関連の有症率は、調査対象者の平均レベルと同等もしくはわずかに高い程度であったが、インターネット依存症の重症度が増すにつれ、これらの割合の急激な増加が認められた。

・人口統計学および精神病理学的な交絡因子で調整した後、4つの精神病理学的症状の中で臨床的なうつ病は、インターネット依存症と最も強い関連が認められた。インターネット依存症の重症度別のうつ病有病率は、以下のとおりであった。
 ●依存症なし:1.01%(1万7,584人中178人)
 ●軽度:4.85%(1万2,009人中582人)
 ●中等度:24.81%(2,003人中497人)
 ●重度:58.73%(63人中37人)

・4つの精神病理学的症状のいずれかを有する学生および生涯自殺念慮、自殺計画、自殺企図の有症率は、インターネット依存症の重症度が増すにつれ、増加が認められた。

【4つの精神病理学的症状のいずれかを有する学生の割合】
 ●依存症なし:4.05%(713人)
 ●軽度:11.72%(1,408人)
 ●中等度:36.89%(739人)
 ●重症度:68.25%(43人)

【生涯自殺念慮の有症率】
 ●依存症なし:24.92%(4,382人)
 ●軽度:47.56%(5,711人)
 ●中等度:67.70%(1,356人)
 ●重症度:73.02%(46人)

【自殺計画の有症率】
 ●依存症なし:2.59%(456人)
 ●軽度:6.77%(813人)
 ●中等度:16.72%(335人)
 ●重症度:31.75%(20人)

【自殺企図の有症率】
 ●依存症なし:0.50%(88人)
 ●軽度:1.23%(148人)
 ●中等度:3.54%(71人)
 ●重症度:12.70%(8人)

 著者らは「中等度から重度のインターネット依存症は、身体症状を含むメンタルヘルスへの悪影響と強く関連しており、うつ病との最も強い関連性が示唆された。このことから、中等度から重度のインターネット依存症に対するサポートは、妥当であると考えられる。インターネットプラスや人工知能の時代において、人間の健康問題を解決する観点から、健康政策担当者やサービスサプライヤーが、このことを理解することが重要である」としている。

出典

Guo W, et al. J Med Internet Res. 2020;22:e17560.

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