聴覚障害患者にみられる精神疾患、ドパミン感受性が影響

聴覚障害を有する人では精神疾患リスクの増大が観察されている。社会的挫折論(social defeat hypothesis)によれば、長期的に排除されるという経験が、脳内のドパミンシステムの活性や感受性の強化に結び付き、精神疾患リスクを増大するとされている。オランダ・アムステルダム大学のMartin Gevonden氏らは、その関連性を実証するため、重度聴覚障害の若年成人におけるドパミン放出と、前述の社会的挫折論との関連を調べた。JAMA Psychiatry誌2014年12月号の掲載報告。

検討では、重度聴覚障害を有する若年成人が、より強い社会的挫折を感じているかどうか、デキストロアンフェタミンへの反応としてより多くのドパミン放出がみられるか、また、同物質に対して正常聴覚成人よりもより強い主観的反応を示すのかについて調べた。また、ドパミン放出が、社会的排除感を訴えること、およびデキストロアンフェタミンにより誘発された精神疾患と関連しているかについても調べた。対象は、19例の患者と、喫煙・年齢・性別で適合した健常対照19例であった。被験者は、大学病院で硫酸デキストロアンフェタミン(0.3mg/kg)の静脈投与を受け、その前後にSPECT画像検査で評価を受けた。主要評価項目は、ベースラインのD2/3レセプター結合と内因性ドパミンの放出とした。

主な結果は以下のとおり。

・患者群のほうが、より多くの社会的挫折感(U=109、z=-2.09、p=0.04)、孤独感(U=87.5、z=-2.72、p<0.001)を報告したが、ベースラインの精神症状に差はみられなかった(U=156.5、z=-0.70、p=0.48)。
・ベースラインのD2/3レセプター結合に有意な差はみられなかった。
・しかし、年齢(単位:月齢)、喫煙(同年間パック数)を共変数とした反復計測多変量解析の結果、健常群よりも患者群のほうが、アンフェタミンにより誘発された線条体のドパミン放出がより多いことが示された(F1,34=4.55、p=0.04)。
・アンフェタミン投与後、患者群は健常群よりも変化が大きかったが、精神症状は増大しなかった。
・同様に、社会的排除感の報告と精神症状の増大は、ドパミン放出とは関連していなかった。

結果を踏まえ著者らは、「以上のような所見が、聴覚障害者の社会的排除感におけるドパミン感受性のエビデンスとして示された。さらに、他の排除感を有するグループにおける検討で同様の所見が得られれば、今回の所見は精神障害の基礎を成す機序の理解において、またその予防に重大な意味を持つことになるだろう」とまとめている。

出典

Gevonden M, et al. JAMA Psychiatry. 2014; 71: 1364-1372.

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