精神疾患患者の新型コロナ感染、治療薬の用量変更などは必要か?

 精神疾患患者における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のマネジメントでは、とくに薬物相互作用に関して、いくつかの課題がある。スペイン・バルセロナ大学のG. Anmella氏らは、COVID-19に罹患した精神疾患患者に関する代表的な3つのケースと、既知の文献およびコンサルテーション・リエゾン精神科の専門家チームの臨床経験に基づいた実践的なアプローチの報告を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年9月1日号の報告。

主な結果は以下のとおり。

・ロピナビル・リトナビル(商品名:カレトラ)治療を受けている患者の場合には、継続中の精神薬理学的治療が優先されるべきであり、多くの薬剤においてその投与量は25~50%減量すべきである。例外として、クエチアピン(セロクエルほか)、アセナピン(シクレスト)、オランザピン(ジプレキサほか)、セルトラリン(ジェイゾロフトほか)、ラモトリギン(ラミクタールほか)、bupropion、メサドン(メサペイン)などが挙げられる。

・精神薬理学的治療の通常の投与量が低~中程度の範囲にある場合には、COVID-19治療薬併用中の用量変更は推奨されない。ただし、必要に応じてECG、副作用および薬物レベルの臨床モニタリングのみ推奨される。

・精神薬理学的治療を開始する場合には、心毒性の相互作用の有無をECGでモニタリングしながら漸増しなければならない。

(A)興奮性せん妄に対しては、第1選択の抗精神病薬およびクエチアピンは避けるべきであり、オランザピンが推奨される。

(B)重度の精神疾患に対しては、基本的な治療を維持する必要がある。

(C)抑うつ/不安症状を有する重度でない精神疾患に対しては、心理的サポートを実施し、症状を特定したうえで治療を行う必要がある。

 著者らは「薬理学的相互作用に関する推奨事項は、限られた定性的なアプローチのみを提供している」としながらも、「COVID-19に罹患した精神疾患患者は、いくつかの臨床基準を考慮し個別にマネジメントするべきであり、COVID-19治療の対象から除外すべきではない。薬理学的相互作用のリスクは絶対的ではなく、状況に応じて対応する必要がある。ほとんどの精神薬理学的治療では、QTc間隔にとくに注意し、ECGを検討すべきである」としている。

出典

Anmella G, et al. J Affect Disord. 2020;274:1062-1067.

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