2つの不眠症治療薬レンボレキサント(商品名:デエビゴ)とスボレキサント(ベルソムラ)の有効性および安全性について、変量効果モデルのネットワークメタ解析により、比較検討が行われた。
藤田医科大学の岸 太郎氏らによる、Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2020年5月28日号の報告。
2020年4月28日までに公表された研究を、Embase、MEDLINE、CENTRALより検索した。主要アウトカムは、1週目の主観的な睡眠開始時間(TSO)、総睡眠時間(TST)、中途覚醒回数(WASO)とした。
主な結果は以下のとおり。
・4つの二重盲検ランダム化比較試験(3,237例、女性の割合:72.4%、平均年齢:58.0歳)が特定された。
・患者の内訳は、レンボレキサント10mg/日592例、レンボレキサント5mg/日589例、スボレキサント20または15mg/日493例、ゾルピデム徐放性製剤6.25mg/日263例、プラセボ1,300例であった。
・各主要アウトカムに対する治療効果は、プラセボよりも優れていた・
【1週目の主観的な睡眠開始時間】
●レンボレキサント10mg/日:-0.51(95%CI:-0.63~-0.39)
●レンボレキサント5mg/日:-0.48(95%CI:-0.60~-0.36)
●スボレキサント20または15mg/日:-0.21(95%CI:-0.33~-0.10)
●ゾルピデム徐放性製剤6.25mg/日:-0.30(95%CI:-0.46~-0.14)
【1週目の主観的な総睡眠時間】
●レンボレキサント10mg/日:-0.58(95%CI:-0.70~-0.45)
●レンボレキサント5mg/日:-0.33(95%CI:-0.46~-0.21)
●スボレキサント20または15mg/日:-0.34(95%CI:-0.46~-0.23)
●ゾルピデム徐放性製剤6.25mg/日:-0.42(95%CI:-0.59~-0.25)
【1週目の主観的な中途覚醒回数】
●レンボレキサント10mg/日:-0.42(95%CI:-0.57~-0.28)
●レンボレキサント5mg/日:-0.26(95%CI:-0.40~-0.11)
●スボレキサント20または15mg/日:-0.18(95%CI:-0.32~-0.05)
●ゾルピデム徐放性製剤6.25mg/日:-0.37(95%CI:-0.56~-0.18)
・有害事象による治療中止は、各薬剤ともにプラセボと有意な差は認められなかった。
・レンボレキサント10mg/日、スボレキサント20または15mg/日は、プラセボと比較し傾眠との関連が認められた。
著者らは「レンボレキサントは、傾眠リスクが認められたものの、すべての主要アウトカムにおいて、もっとも大きなエフェクトサイズが示唆された」としている。
出典
Kishi T, et al. J Psychiatr Res. 2020 May 28. [Online ahead of print]