過食性障害薬物治療の新たな可能性とは

過食性障害に対する薬理学的アプローチについて、米国・ノースカロライナ大学のKimberly A. Brownley氏らが現状を紹介している。これまでに、食欲過剰、気分調節、衝動制御に関連する神経伝達物質を標的とした検討が行われており、なかでもグルタミン酸シグナル伝達回路に着目した研究に新たな可能性があることを示唆している。

Drugs誌オンライン版2014年11月27日号の掲載報告。

Brownley氏らによれば、米国において、過食性障害は最も頻度の高い摂食障害で、生涯有病率は成人女性で最大で3.5%、成人男性で2.0%、思春期で1.6%と報告されているという。過食性障害は、過食を制御できないという感覚を伴う頻繁な暴食症状を特徴とし、その結果として著しい心理的苦痛を患者に与える。また、過食性障害は肥満そしてうつ病などの精神医学的症状を高頻度に併発し、実質的な役割障害と関連する。

現在、米国FDAにより認可された過食性障害治療薬はない。一方で、動物およびヒトを対象とした研究により、脳の報酬系領域内のドパミン、オピオイド、アセチルコリン、セロトニンが神経回路において調節異常を来している可能性が示唆されており、今日に至るまで、食欲過剰、気分調節、衝動制御に関連する複数の神経伝達物質を標的としたさまざまな薬剤の有効性が、過食性障害治療の分野で研究されてきているという。

これまでに得られている主な知見は以下のとおり。

・抗うつ薬、抗けいれん薬の中に、過食症状の発生抑制に有効なものがあったが、治療の主要目的である食欲抑制を達成できた患者は限られていた。
・臨床的に意味のある体重減少、あるいはプラセボに比べ有意な体重減少の達成に関しても、効果の高いもの(トピラマート[商品名:トピナほか])から低いもの(フルボキサミン[デプロメール、ルボックスほか])まで、ばらつきがあった。
・全体的にみて、過食性障害に対する薬理学的アプローチに関する文献は限られており、適切なフォローアップによる多面的検証試験(multiple confirmatory trials)が実施された薬剤は非常に少なく、年齢、性別、多人種の患者集団からなる大規模サンプルを用いて評価された薬剤はほとんどない。
・さらに、これまでの研究は、試験デザインや本疾患の患者集団に共通して認められるプラセボに対する高い反応性により、適切に実施されてこなかった。
・いくつかの新しい薬剤がさまざな研究段階にあるが、扁桃体と外側視床下部をつなぐグルタミン酸シグナル伝達回路に着目した最近の動物実験により、新しい研究や薬剤開発の可能性が示唆されている。
・新しくFDAに認可された長期肥満治療薬の研究、食欲や気分に影響を与える成分を含有するサプリメントや栄養食補助食品のさらなる開発も、有意義な取り組みになると思われる。

出典

Brownley KA, et al. Drugs. 2014 Nov 27. [Epub ahead of print]

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