うつ病治療の「ダンス・ムーブメントセラピー」効果は認められるか

英国・リーズ大学のBonnie Meekums氏らは、うつ病に対するダンス・ムーブメントセラピー(DMT)の効果を明らかにするため、3件の無作為化対照試験(RCT)の解析を行った。その結果、DMTのうつ病に対する確実な効果は認められなかったことを報告した。DMTは広範囲の文化的、知的バックグランドを持つ人が活用しているが、その効果は十分にわかっていなかった。Cochrane Database Systematic Reviews2015年2月19日号の掲載報告。

研究グループは、うつ病に対するDMTの効果を調べるため、未治療、標準治療単独、精神療法、薬物治療、その他の身体的介入と比較した。また、異なるDMTアプローチについてもその効果を比較検討した。Cochrane Depression, Anxiety and Neurosis Review Group’s Specialised Register (CCDANCTR-Studies and CCDANCTR-References)およびCINAHLを、WHO International Clinical Trials Registry Platform(WHO ICTRP)および ClinicalTrials.govと合わせて検索した(2014年10月2日時点)。さらに、Allied and Complementary Medicine Database(AMED)、Education Resources Information Center(ERIC)、Dissertation Abstractsを検索し(2013年8月まで)、手動による検索で、関連する研究者、教育プログラム、世界的ダンスセラピーの専門家を調査した。

試験適格基準は、少なくとも1群をDMT群として設定し、年齢にかかわらずうつ病患者に対するアウトカムを検討しているRCTとした。DMTの定義としては、精神療法を目的としていることが明確な一般参加型のダンスで、試験実施国において承認されるレベルの訓練を経た個人により進められているものとした。国において承認される訓練を経た個人とは、たとえば米国では、American Dance Therapy Association (ADTA)のトレーナーあるいは資格認定者、英国では、Association for Dance Movement Psychotherapy(ADMP)のトレーナーあるいは認定を受けた者とした。同様の専門機関がヨーロッパには存在するが、このような専門分野がまだ発展途上であるいくつかの国(たとえば中国)では、その質の低さが米国や英国における数十年前の状況だとして、レビュワーは、関連する専門的資格(たとえば看護や精神力動療法)や、Levy 1992、ADMP UK 2015、Meekums 2002、Karkou 2006といった、公表されているガイドラインに準ずる療法であることが明記されていれば組み入れることとした。
試験の方法論的な質を評価し、3人のレビュアーのうち2人がデータ抽出フォームを用いてデータを抽出した。残りの1人は判定者としての役割を担った。

主な結果は以下のとおり。

・3件の試験の被験者合計147例(成人107例、未成年40例)が包含基準を満たした。DMT療法群74例、対照群は73例であった。
・2件の試験は、成人男性と成人女性のうつ病患者を対象としていた。そのうち1試験は外来患者も対象としていたが、もう一方の試験は都市部の病院の入院患者のみを対象としていた。
・3件目の試験は、中学校に通う未成年女子を対象とした調査結果を報告していた。
・これらの試験はすべて、2種類のうつ病評価基準、すなわち医師によるハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)およびSymptom Checklist-90-R(SCL-90-R)(自己評価スケール)を用いて、継続的なデータ収集が行われていた。
・3件の試験の間に統計学的な不均一性が確認された。
・DMTのうつ病に対する確実な効果は認められなかった(SMD:-0.67、95%CI:-1.40~0.05、エビデンスの質は非常に低い)。
・予定されたサブグループ解析において、2件の試験の成人107例において好ましい効果が示されたが、臨床的有意差を認めるに至らなかった(SMD:-7.33、95%CI:-9.92~-4.73)。
・成人を対象とした1件の試験は脱落率を報告しており、そのオッズ比は1.82(95%CI:0.35~9.45)で有意差なしと判断された(エビデンスの質は低い)。
・社会的機能を評価した1件の試験において、非常に有効な結果が認められたが(MD:-6.80、95%CI:-11.44~-2.16、エビデンスの質は非常に低い)、結果の正確性に問題があった。
・1件の試験において、QOL(同:0.30、-0.60~1.20、エビデンスの質は低い)あるいは自尊感情(1.70、-2.36~5.76、エビデンスの質は低い)に関して好ましい影響、悪影響のいずれもみられなかった。
・3件の小規模試験の147例で得られたエビデンスは質が低かったため、うつ病に対するDMTの効果に関して確固たる結論を導くことはできなかった。
・うつ病に対するDMTの効果を評価するには、より大規模で方法論的に質の高い試験が必要である。その際には、経済的分析および受容性についても評価し、あらゆる年齢群を対象とすることも必要である。

出典

Meekums B, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2015; 2: CD009895.

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