21種類の抗うつ薬を比較「有効性の高い薬剤」と「安全性の高い薬剤」は

うつ病は、世界的に最も頻度が高く、疾患による負荷が大きな、医療費がかかる精神障害の1つである。うつ病の治療には、薬物療法と非薬物療法があるが、一般的に心理学的介入よりも抗うつ薬による治療が行われている。抗うつ薬による治療を行ううえで、個々の患者に最善の治療薬を選択するためのエビデンスが必要とされていた。そこで、うつ病成人患者に対する各抗うつ薬治療の比較を行うため、これまでに実施された21種類の抗うつ薬に関する比較試験のシステマティックレビューとメタ解析が行われた。英国・オックスフォード大学のAndrea Cipriani氏らによる、Lancet誌オンライン版、2018年2月21日号の報告。

2016年1月8日までに報告された抗うつ薬のランダム化二重盲検比較試験を、Cochrane Central Register of Controlled Trials、CINAHL、EMBASE、LILACS database、MEDLINE、MEDLINE In-Process、PsycINFO、規制当局のウェブサイトを用いて検索を行った。うつ病成人患者(18歳以上の男女)を対象に、急性期治療薬として使用された21種の第1および第2世代の抗うつ薬に関するプラセボまたは実薬対照比較試験を抽出し、解析を行った。準ランダム化試験や、双極性障害、精神病性うつ病、治療抵抗性うつ病患者を20%以上組み込んだ試験などは除外した。Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventionsに沿って、試験のバイアスリスクを評価し、GRADE frameworkを用いてエビデンスの質を評価した。主要アウトカムは、有効性(奏効率)と忍容性(治療中止率:あらゆる理由で治療を中止した患者の割合)とした。要約オッズ比(OR)を算出するために、ランダム効果モデルによるペアワイズおよびネットワーク・メタ解析を用いた。

主な結果は以下のとおり。

・2万8,552件の報告から、適格試験522件(計11万6,477例)を解析に組み込んだ。
・有効性については、ネットワーク・メタ解析の結果、プラセボと比較し、21種の抗うつ薬すべてが有効であり、ORはアミトリプチリン(商品名:トリプタノールほか)の2.13(95%CI:1.89~2.41)が最も高く、reboxetineの1.37(95%CI:1.16~1.63)が最も低かった。
・忍容性については、agomelatine(OR:0.84、95%CI:0.72~0.97)とfluoxetine(OR:0.88、95%CI:0.80~0.96)のみがプラセボより有意に中止が少なく、クロミプラミン(アナフラニール、OR:1.30、95%CI:1.01~1.68)はプラセボより有意に中止が多かった。
・実薬の直接比較では、agomelatine、アミトリプチリン、エスシタロプラム(レクサプロ)、ミルタザピン(リフレックス、レメロン)、パロキセチン(パキシルほか)、ベンラファキシン(イフェクサー)、vortioxetineは他の抗うつ薬よりも有効であったが(OR範囲:1.19~1.96)、fluoxetine、フルボキサミン(デプロメール、ルボックスほか)、reboxetine、トラゾドン(デジレル、レスリンほか)は効果が低かった(OR範囲:0.51~0.84)。
・また、忍容性については、agomelatine、citalopram、エスシタロプラム、fluoxetine、セルトラリン(ジェイゾロフトほか)、vortioxetineは他の抗うつ薬よりも良好であったが(OR範囲:0.43~0.77)、アミトリプチリン、クロミプラミン、デュロキセチン(サインバルタ)、フルボキサミン、reboxetine、トラゾドン、ベンラファキシンは中止率が高かった(OR範囲 1.30~2.32)。
・522試験のうち46試験(9%)はバイアスリスクが高く、エビデンスの質は「非常に低い」~「中程度」であり、380試験(73%)が「中程度」、96試験(18%)が「低度」であった。

著者らは「すべての抗うつ薬は、うつ病成人患者に対し、プラセボより有効であった。プラセボ対照比較試験が分析に含まれた場合、薬剤間の差はより小さく、実薬対照比較試験では、有効性および忍容性が、より多様性であった。本結果は、エビデンスに基づいた治療を行ううえで、患者と医師にとって重要なものであり、ガイドラインや医療政策の策定において、異なる抗うつ薬の相対的なメリットを検討すべきである」としている。

出典
Cipriani A, et al. Lancet. 2018 Feb 20. [Epub ahead of print]

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