抗うつ薬比較、認知機能改善が期待できる薬剤は

大うつ病性障害(MDD)では、しばしば認知機能障害の併発がみられる。いくつかの臨床試験で、MDDに対する抗うつ薬の認知機能促進作用が示されてきた。カナダ・トロント大学のJoshua D. Rosenblat氏らは、MDD患者の認知ドメインに及ぼす抗うつ薬の影響についてシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。その結果、抗うつ薬は精神運動速度と遅延再生にプラスの影響を及ぼし、なかでもvortioxetineが大きく寄与している可能性を示唆した。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年7月25日号の掲載報告。

研究グループは、MDDにおけるさまざまな認知ドメインに対する抗うつ薬の影響を統合評価する検討を行った。Cochrane Central Register of Controlled Trials、PubMed、Embase、PsychINFO、Clinicaltrials.govおよび関連するレビュー記事を検索し、2015年4月15日以前に発表された試験を特定した。抗うつ薬の認知機能への影響を評価したランダム化臨床試験のデータを統合し、ランダム効果モデルを用いて標準化平均差(SMD)を決定した。

主な結果は以下のとおり。

・vortioxetine(国内未承認、728例)、デュロキセチン(商品名:サインバルタ、714例)、パロキセチン(パキシルほか、23例)、citalopram(国内未承認、84例)、phenelzine(国内未承認、28例)、ノルトリプチリン(ノリトレン、32例)、セルトラリン(ジェイゾロフトほか、49例)の認知機能への影響を評価した9件のプラセボ対照ランダム化試験(被験者2,550例)を特定した。
・抗うつ薬は、精神運動速度(SMD:0.16、95%信頼区間:0.05~0.27、I2=46%)と遅延再生(同:0.24、0.15~0.34、0%)にプラスの影響を示した。
・認知制御および実行機能に対しては、統計学的に有意な影響は認められなかった。
・vortioxetineを除外して解析したところ、精神運動速度において注目すべき統計学的有意差の消失が認められた。
・SSRI(371例)、SNRI(25例)、三環系抗うつ薬(TCA)(138例)、ノルエピネフリンおよびドパミン再取り込み阻害薬(NDRI)(46例)の影響を比較した8件の直接比較ランダム化試験が特定された。
・それら試験結果を統合し分析した結果、認知機能への影響を示す統計学的有意差は認められなかった。
・以上、抗うつ薬では、精神運動速度および遅延再生に対し有意なプラス効果があることを示唆するエビデンスが認められた。
・検討は、結果の不均一性、不十分な試験数、サンプルサイズが小さく、結果はきわめて限定的である。

出典

Rosenblat JD, et al. Int J Neuropsychopharmacol. 2015 Jul 25. [Epub ahead of print]

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