うつ病や抗うつ薬の使用が乳がんリスクを高めるという仮説は本当か?

うつ病および抗うつ薬の使用がそれぞれ乳がんのリスクを高めるという仮説があるが、これらに同時に曝露した場合を考慮した先行研究はなく、うつ病によるリスク上昇が抗うつ薬使用に起因したものか、あるいはそうでないのかは未解決であった。米国マサチューセッツ大学アマースト校のKW Reeves氏らは、うつ病と抗うつ薬の使用を同時に考慮したモデルを用いて、乳がんリスクに及ぼす影響を検討した。その結果、うつ病は乳がんリスクと関連しなかったこと、抗うつ薬がわずかであるが乳がんのリスクを増加させ、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)によるリスク上昇が確認されたことを報告した。Cancer Epidemiology Biomarkers & Prevention誌2015年4月号の掲載報告。

検討は、前向きコホートである米国看護師健康調査(Nurses’ Health Study)に2000年初頭に登録された女性7万7,482例の、うつ病と抗うつ薬使用に関するデータを使用して行われた。医師によるうつ病の診断歴、特定の種類の抗うつ薬使用について自己報告をしてもらい、2012年の1年間に乳がんと自己報告された症例を精査し、浸潤性がんと確定された症例のみをアウトカムに含めた(2,567例)。ロジスティック回帰モデルを用い、ベースライン時のうつ病ならびに抗うつ薬使用の乳がんリスクに及ぼす影響を、個々におよび相互調整後の両面から評価した。

主な結果は以下のとおり。

・被験者の平均年齢は66.2(SD 7.1)歳であった。臨床的にうつ病と診断された患者は8.9%で、8.7%が抗うつ薬を使用していた。
・年齢、BMI、閉経状況で調整後、うつ病と抗うつ薬使用それぞれの個別モデルにおいて、うつ病(オッズ比[OR]:0.94、95%信頼区間[CI]:0.81~1.08)あるいは抗うつ薬使用(同:1.07、0.93~1.22)と、乳がんリスクとの間に統計的に有意な関連は認められなかった。
・うつ病と抗うつ薬使用を1つのモデルに同時に組み込んだ場合、うつ病と乳がんリスクとの関連は依然認められなかったが(OR:0.87、95%CI:0.74~1.03)、抗うつ薬使用は有意なリスク増加と関連していた(同:1.15、0.98~1.35)。ただし、その差は小さく、有意差は境界線上であった。
・抗うつ薬使用と乳がんリスクとの関連は、SSRIにおいて常に確認されたが(OR:1.16、95%CI:0.96~1.39)、他の種類の抗うつ薬では明らかではなかった(同:1.07、0.85~1.35)。
・これら最初に得られた結果は、うつ病が乳がんリスクと関連しないことを示しているが、SSRI使用とリスクのわずかな上昇との関連は除外できなかった。

結果を踏まえて著者は、「さらなる分析でフォローアップ時の曝露情報が更新され、閉経状況やホルモン受容体サブタイプによる関連性の評価が可能となると思われる」と述べ、また「うつ病と抗うつ薬使用の乳がんリスクに及ぼす影響が明確になれば、うつ病や抗うつ薬を使用する数百万の女性に重要な情報を提供しうる」とまとめている。

出典

Reeves KW, et al. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2015; 24: 761-762.

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