学術論文で報告される抗うつ薬の有害事象、どの程度信頼できるか

これまでの研究によると、抗うつ薬の有効性は、報告バイアスにより誇張されていることが示唆されている。オランダ・フローニンゲン大学のYmkje Anna de Vries氏らは、抗うつ薬の安全性についても影響があるかを検討した。European neuropsychopharmacology誌オンライン版2016年9月19日号の報告。

解析には、FDAのレビューから得られたうつ病または不安障害に対する第2世代抗うつ薬の試験133件(3万1,296例)を用いた。全中断、有害事象および重篤な有害事象による中断に関するデータを抽出した。重篤な有害事象は質的に比較しながら、FDAレビューとマッチした学術論文との中止率を比較するため、メタアナリシスを用いた。

主な結果は以下のとおり。

・全中断のオッズ比は、プラセボと比較し1.0であったが、有害事象による中断のオッズ比は、2.4であった。
・97件中77件(79%)の学術論文は、情報提供が不完全であり、61件(63%)は、すべての重篤な有害事象について言及していなかった。
・FDAと比較可能な21件の論文のうち、6件(29%)は、矛盾のない完全な報告であった。
・9件(43%)は、重篤な有害事象数が矛盾する報告であった。
・自殺企図のような重要な重篤な有害事象についての記述がない、または矛盾した記述であった論文は6件(29%)であった。

結果を踏まえ、著者らは「報告バイアスは、試験の平均中止率に対し影響を及ぼしていない。しかし、重篤な有害事象の報告は、半数以上の論文で非常に劣っているだけでなく、一般的にFDAレビューと異なっており、多くの場合、プラセボと比較しより良好な報告であった。これらの知見より、学術論文による抗うつ薬試験の重篤な有害事象データは、鵜呑みにできないことが示唆された」としている。

出典

de Vries YA, et al. Eur Neuropsychopharmacol. 2016 Sep 19. [Epub ahead of print]

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