発症前に認知症を特定することはできるのか

アルツハイマー病(AD)の早期診断は臨床管理において重要であり、早期段階の患者を臨床試験に組み込むことで、疾患修飾薬の評価を行うことができる。米国・ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のVladimir Coric氏らは、軽度認知障害(MCI)期の症候性前認知症期(prodromal AD:PDAD)における、γ-セクレターゼ阻害薬avagacestatの安全性を評価するとともに、脳脊髄液(CSF)バイオマーカーが認知症と臨床診断される前にPDADを特定できるかどうかを検討した。その結果、avagacestatの有効性は認められず、用量制限有害作用と関連していることが示された。また、PDAD患者はCSF陰性のMCI患者と比較すると、臨床的に認知症への進行率および脳萎縮率が高いことが明らかとなった。著者らは「CSFバイオマーカーとアミロイドPET所見は相関しており、いずれの方法も脳内アミロイドパチーの存在を確認したりPDADの鑑別に利用できる」とまとめている。JAMA Neurology誌オンライン版2015年9月28日号掲載報告。

研究グループは、2009年5月26日~2013年7月9日に、外来患者1,358例をスクリーニングして、MCIおよびCSFバイオマーカーの基準を満たしたPDAD患者263例を、avagacestat群(132例)とプラセボ群(131例)に無作為化し、avagacestatの安全性および忍容性について、無作為化プラセボ対照比較試験(第II相試験)を実施した。また、バイオマーカーの分析感度を評価するため、MCI基準を満たすがCSFバイオマーカー陰性の患者102例を、非無作為化観察コホートとして同様に観察した。

主な結果は以下のとおり。

・avagacestat 50mg/日群は、中断率は19.6%と低く、忍容性は比較的良好であった。
・avagacestat 125mg/日群は、主に消化管の有害事象のため中断率が43%と高かった。
・avagacestat群では、非黒色腫皮膚がんおよび非進行性の可逆的な尿細管作用の増加が観察された。
・重篤有害事象の発現頻度は、avagacestat群(49例、37.1%)がプラセボ群(31例、23.7%)より高かった。これは非黒色腫皮膚がんが高率に発現したためと考えられた。
・2年後に認知症へ進行していた患者の割合は、観察コホート(6.5%)よりPDADコホート(30.7%)で高かった。
・PDADコホートにおける脳萎縮率は、観察コホートの約2倍であった。
・PETでの異常なアミロイド蓄積とCSF所見との一致率は約87%であった(κ=0.68、95%信頼区間:0.48~0.87)。
・重要な臨床評価項目において、avagacestat群とプラセボ群とで有意な治療の差は観察されなかった。

出典

Coric V, et al. JAMA Neurol. 2015 Sep 28:1-10. [Epub ahead of print]

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