アルツハイマー病の今後の治療戦略予測

アルツハイマー病は、最もよく見られる進行性の神経変性疾患である。コリン作動性機能障害は主要な病理学的変化の1つであり、コリン作動性ニューロンの枯渇は、βアミロイドプラークや神経原線維変化といった十分に確立された毒性によって引き起こされる。コリン作動性機能障害は、アセチルコリンの合成と放出の減少の結果であり、ムスカリン性およびニコチン性のコリン作動受容体の機能を変化させる。また、コリン作動性変化、アミロイドβ産生やタウのリン酸化と2つの主要なアルツハイマー病の病理的特徴との間には直接的な相関が同定されている。イタリアのローマ・ラ・サピエンツァ大学のAnnamaria Confaloni氏らは、コリン作動性受容体の活性を調節できる新たなアロステリックやbitopicリガンドの同定を検討した。さらに、脳内で薬物を送達する薬物送達(drug delivery)法(ナノ粒子、リポソームなど)が、毒性や潜在的な副作用を低減するかも検討した。Current pharmaceutical design誌オンライン版2016年2月15日号の報告。

主な結果は以下のとおり。

・現在、多くの薬剤(たとえば、ドネペジル[商品名:アリセプトほか]、リバスチグミン[イクセロン、リバスタッチ]など)が、アルツハイマー病に使用されていた。そして、ムスカリン性やニコチンアゴニストのような開発中のいくつかの薬剤は、コリン作動系を特異的にターゲットとしている。主なメカニズムは、神経毒性蛋白の集積を減少し、認知障害の原因であるコリン作動性の反応を改善するコリン作動性機能障害の改善を目指している。
・有望なアプローチは、脳への薬物送達の改善、または既知もしくは新規の分子経路をターゲットとした新規化合物の開発である。
・ナノ粒子やリポソームは、コリン作動系をターゲットとした化合物送達への利用にとくに焦点を当てた、従来の投与経路を克服する新規ナノテクノロジーツールとして評価されている。
・最終的には、研究の新規フィールドでは、人工多能性幹細胞の使用が始まる。患者から直接細胞を入手することを可能にする技術は、無限に増殖することができ、感受性神経細胞サブタイプに分化できる。
・このことは、アルツハイマー病の病理学的プロセスの理解を改善するために大きく貢献し、コリン作動性機能障害の先にある現在のアルツハイマー病の薬理学を高める可能性がある。
・現在のレビューに記載された内容から、薬理学的研究と薬物送達のためのナノテクノロジーの手法、新規の特異的なモデルの同定を組み合わせることで、アルツハイマー病を含むさまざまな神経疾患の治療戦略を大いに改良し、向上させられる可能性がある。

出典

Confaloni A, et al. Curr Pharm Des. 2016 Feb 15. [Epub ahead of print]

コメント

タイトルとURLをコピーしました