せん妄のマネジメントに抗精神病薬の使用は推奨されるか

 千里中央病院の前田 一石氏らは、緩和ケアを受けている進行がん患者のせん妄に対する抗精神病薬の安全性および有効性を明らかにするため、検討を行った。General Hospital Psychiatry誌オンライン版2020年9月14日号の報告。

 本研究は、緩和ケアまたはサイコオンコロジーの入院患者で、抗精神病薬を投与されているせん妄を有する進行がん患者を、連続して登録したプロスペクティブ観察研究である。せん妄評価尺度98(DRS、範囲:0~39)の調整済み平均スコアを、一般化推定方程式を用いて、ベースライン時と3日目に収集した。また、7日間にわたる有害事象を評価した。

主な結果は以下のとおり。

・756例(平均年齢72±11歳、男性:62%、寝たきり:48%)の患者データを分析した。

・調整された平均DRSスコアは、抗精神病薬投与後に有意な減少が認められた(投与前:21.5[95%CI:19.5~23.4]、投与後:20.8[95%CI:18.9~22.8]、p=0.03、エフェクトサイズ[ES]=0.02)。

・抗精神病薬投与によるせん妄の有意な改善が認められた因子は、以下のとおりであった。
 ●75歳以上(ES=0.07)
 ●PS(健康状態)良好(ES=0.32)
 ●推定余命の長さ(ES=0.25)
 ●サイコオンコロジーのコンサルテーションあり(ES=0.20)
 ●過活動型せん妄(ES=0.14)
 ●混合型せん妄(ES=0.24)
 ●クエチアピン(商品名:セロクエルほか)投与(ES=0.19)

・余命が数日の患者では、抗精神病薬投与によりせん妄の有意な悪化が認められた(ES=0.18)。

・最も一般的な有害事象は、錐体外路症状(9.8%)、傾眠(8.5%)であった。

 著者らは「包括的なせん妄のマネジメントの一部として、抗精神病薬の使用は安全であり、末期の患者やせん妄の患者にベネフィットをもたらすと考えられる。せん妄に対する非薬理学的介入に加え、適切な抗精神病薬の使用は推奨される」としている。

出典

Maeda I, et al. Gen Hosp Psychiatry. 2020 Sep 14. [Epub ahead of print]

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