小児自閉スペクトラム症のうつ症状に「いじめ」が影響

小児から成人期初期までの自閉スペクトラム症(ASD)において、うつ病の軌跡をフォローした人口ベースの研究は、あまり行われていない。そのため、遺伝的あるいは、いじめなどの環境的要因の役割は、いずれの集団においてもよくわかっていない。英国・ブリストル大学のDheeraj Rai氏らは、ASDや自閉症気質の有無にかかわらず、10~18歳の小児におけるうつ症状の軌跡を比較し、ASDと18歳時のICD-10うつ病診断との関連を評価し、遺伝的交絡およびいじめの重要性について検討を行った。JAMA psychiatry誌オンライン版2018年6月13日号の報告。

英国・ブリストルの親子出生コホートであるAvon縦断研究の参加者を、18歳までフォローアップした。データ分析は、2017年1~11月に実施した。うつ症状の評価は、10~18歳の間に6つの時点でShort Mood and Feelings Questionnaire(SMFQ)を用いて行った。18歳時のICD-10うつ病診断の確定には、Clinical Interview Schedule-Revisedを用いた。ASD診断および4つの自閉症気質(社会的コミュニケーション、一貫性、反復行動、社会性)について評価した。自閉症遺伝子多型リスクスコアは、Psychiatric Genomics Consortiumの自閉症発見ゲノムワイド関連研究の集計データを用いて得られた。いじめの評価は、8、10、13歳時に実施した。

主な結果は以下のとおり。

・完全なデータを有する最大サンプル数は、軌跡分析で6,091例(男性:48.8%)、18歳時のうつ病診断で3,168例(男性:44.4%)。
・ASDおよび自閉症気質を有する小児は、一般集団と比較し、10歳時における平均SMFQ抑うつスコアが高かった(社会的コミュニケーション:5.55[95%CI:5.16~5.95]vs.3.73[3.61~3.85]、ASD:7.31[6.22~8.40]vs.3.94[3.83~4.05])。また、それらは18歳時まで上昇したままであった(社会的コミュニケーション:7.65[95%CI:6.92~8.37]vs.6.50[6.29~6.71]、ASD:7.66[5.96~9.35]vs.6.62[6.43~6.81])。
・社会的コミュニケーションの障害は、18歳時のうつ病リスクと関連しており(調整相対リスク:1.68、95%CI:1.05~2.70)、このリスクに対して、いじめが大きく影響していた。
・自閉症遺伝子多型リスクスコアにより交絡するエビデンスはなかった。
・多重代入法を用いてより大規模なサンプルを分析したところ、結果は類似しており、より正確な結果が得られた。

著者らは「ASDおよびASD気質を有する小児は、一般集団と比較し、10歳時のうつ症状スコアが高かった。また、うつ症状スコアの高さは18歳まで持続し、とくにいじめの状況で顕著であった。うつ病との関連において、社会的コミュニケーションの障害は、重要な自閉症気質であった。環境的要因であるいじめは、介入可能な標的となりうる」としている。

出典

Rai D, et al. JAMA Psychiatry. 2018 Jun 13. [Epub ahead of print]

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