鑑別が難しい「うつ病」と「双極性障害」感情を調節する脳活性の違いが明らかに

うつ病および双極性障害は、抑うつ期あるいは寛解期において臨床的な鑑別が困難である。この2つの気分障害は感情調節障害により特徴付けられるが、それぞれの感情制御の相違に関してはほとんど知られていない。オランダ・アムステルダム大学のMaria M. Rive氏らは、うつ病および双極性障害患者の抑うつ期および寛解期における感情調節の相違について、核磁気共鳴画像(MRI)を用いて検討した。その結果、抑うつ期と寛解期のいずれにおいても、happyあるいはsadという感情を調節している際の脳活性が両疾患の間で異なることを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年5月6日号の掲載報告。

うつ病と双極性障害の感情制御の理解は、障害に特異的な病態生理メカニズムに基づいて両疾患を区別する助けになると思われる。これまでの研究では、薬剤の使用が認められているものが多く、また一般化可能性と妥当性に限界のあるものが多かった。また、気分の状態が両疾患の相違に影響を及ぼすと考えられるが、うつ病および双極性障害患者の大半が寛解期ではなく抑うつ期に比較検討されていた。

研究グループは、薬物治療を実施していないうつ病および双極性障害患者について、抑うつ期と寛解期の2つの気分状態におけるポジティブおよびネガティブな感情調節について検討した。2009年5月~2013年8月までに横断的研究を実施。オランダ全土の複数の精神科施設から登録された、向精神薬の投与を受けていないうつ病患者42例、双極性障害患者35例、健常対照(HC)36例を対象とし、行動的および機能的MRIによる感情調節データを比較した。MRIでは、ポジティブ・ネガティブピクチャーを使用し、自主的感情調節の機能的MRIタスクを評価した。主要アウトカムは、血中酸素濃度による感情調節反応とした。

主な結果は以下のとおり。

・寛解期において、双極性障害患者のみが感情調節障害を示し(t=3.39、p<0.001、Cohen d =0.70)、感情のタイプにかかわらず、うつ病患者および健常対照と比較し背外側前頭前皮質活性の増加を認めた(p=0.008)。
・抑うつ期において、うつ病患者と双極性障害患者で幸福感(happy)と悲嘆(sad)の感情調節に相違が認められ(t=4.19、p<0.001、Cohen d=1.66)、前帯状回吻側における活性に差異がみられた(p<0.001)。
・うつ病患者は双極性障害患者および健常対照に比べて幸福感と悲嘆の感情調節が不十分であったが、これら2つの感情間に前帯状回吻側における活性の差異は示されなかった。
・一方、双極性障害患者はうつ病患者に比べて悲嘆の感情調節が不良であったが、幸福感の感情調節は正常であり、悲嘆と比べ幸福感の感情調節が行われている間は、前帯状回吻側における活性が有意に低かった。
・薬物治療を受けていないうつ病患者と双極性障害患者の比較により、抑うつ期と寛解期のいずれにおいても、感情調節を行っている際の脳活性がうつ病と双極性障害で異なることがわかった。うつ病と双極性障害間で異なる神経学的な病態生理メカニズムは、診断ツールの開発に有効な可能性があった。

出典

Rive MM, et al. JAMA Psychiatry. 2015 May 6. [Epub ahead of print]

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