双極性障害へのルラシドン(ラツーダ)治療、メタボリックシンドロームへの影響は?

 うつ病患者では、メタボリックシンドローム(MetS)の有病率が35~40%と推定されており、死亡率の増加とも関連しているといわれている。本研究では、双極性うつ病患者におけるMetSの有病率とルラシドン(商品名:ラツーダ)による治療効果を評価するため、短期および長期臨床試験の事後分析結果が報告された。

 米国・サノビオンファーマシューティカルズインクのMichael Tocco氏らによる、CNS Spectrums誌2020年4月号の報告。

 成人の双極I型うつ病患者1,192例を対象とした6週間の二重盲検プラセボ対照試験3件を分析に使用した。ルラシドンの用量は、20~120mg/日の範囲であった。研究の内訳は、ルラシドン単剤療法試験1件、リチウムまたはバルプロ酸(デパケンほか)へのルラシドン補助療法試験2件。6週間の試験を終了した患者は、6ヵ月のオープンラベル延長試験へ移行し(単剤療法試験:274例、補助療法試験:436例)、それらのデータを利用した。また、最大20週間のルラシドンによるオープンラベル補助療法試験を完了し、その後ルラシドンまたはプラセボによる28週間の二重盲検ランダム化補助療法試験へ移行した安定期双極性障害患者497例の再発予防研究も分析した。MetSの診断基準には、NCEP-ATP III(2005年改訂)を用いた。

主な結果は以下のとおり。

・6週間試験におけるベースライン時および6週間後のMetS基準を満たした患者の割合は、以下のとおりであった。
 ●ルラシドン単独療法のルラシドン群:ベースライン時27.6%→6週間後27.5%
 ●ルラシドン補助療法のルラシドン群:ベースライン時23.6%→6週間後26.6%
 ●ルラシドン単独療法のプラセボ群:ベースライン時23.8%→6週間後29.9%
 ●ルラシドン補助療法のプラセボ群:ベースライン時25.1%→6週間後20.2%

・ベースライン時にMetS基準を満たしていなかったが6週間後にMetSを発症した患者の割合は、ルラシドン群とプラセボ群で同等であった。
 ●ルラシドン群単独療法(1試験):ルラシドン群9.9% vs. プラセボ群11.6%
 ●ルラシドン補助療法(2試験):ルラシドン群10.3% vs. プラセボ群8.3%

・オープンラベル延長試験移行時にMetS基準を満たしていなかったが6ヵ月後にMetSを発症した患者の割合、それとは逆に、MetS基準が6ヵ月後に改善していた患者の割合は、それぞれ以下のとおりであった。
 ●ルラシドン群単独療法:MetS発症患者11.7%、MetS改善患者9.5%
 ●ルラシドン補助療法:MetS発症患者11.9%、MetS改善患者7.7%

・20週間のオープンラベル補助療法試験のベースライン時にMetS基準を満たしていなかったが治療終了時にMetSを発症した患者の割合は、11.5%であった。

・28週間の二重盲検ランダム化補助療法試験のベースライン時にMetS基準を満たしていなかったが治療終了時にMetSを発症した患者の割合は、それぞれ以下のとおりであった。
 ●ルラシドン補助療法群:9.0%
 ●プラセボ群:10.5%

 著者らは「双極I型障害患者に対するルラシドンの短期および長期治療によるMetS発症リスクは、比較的低いことが明らかとなった。この結果は、統合失調症患者での分析結果と同様であった」としている。

出典

Tocco M, et al. CNS Spectr. 2020;25:302-303.

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