社交不安症(SAD)に対する薬物療法について、治療薬の有効性や忍容性、介入効果、エビデンスの質についての評価を含めた情報をアップデートするため、南アフリカ共和国・ケープタウン大学のTaryn Williams氏らは、システマティックレビューとメタ解析を実施した。Acta Neuropsychiatrica誌オンライン版2020年2月10日号の報告。
SAD治療における薬理学的介入またはプラセボと比較したRCTを、Common Mental Disorder Controlled Trial Registerおよび2つのトライアルレジスターより検索した。ランダム効果モデルを用いて標準的なペアワイズメタ解析を、統計解析ソフトRを用いてネットワークメタ解析を実施した。また、エビデンスの質も評価した。
主な結果は以下のとおり。
・67件のRCTをレビューし、21件(45の介入)についてネットワークメタ解析を実施した。
・パロキセチン(商品名:パキシルほか)はプラセボと比較し、症状の重症度を軽減させる効果が最も高かった。
・優れた治療反応が得られた薬剤は、パロキセチン、brofaromine、ブロマゼパム(レキソタンほか)、クロナゼパム(リボトリール、ランドセン)、エスシタロプラム(レクサプロ)、フルボキサミン(デプロメールほか)、phenelzine、セルトラリン(ジェイゾロフトほか)であった。
・ドロップアウト率は、フルボキサミンでより高かった。
・有害事象によるドロップアウト率がプラセボより高かった薬剤は、brofaromine、エスシタロプラム、フルボキサミン、パロキセチン、プレガバリン(リリカ)、セルトラリン、ベンラファキシン(イフェクサー)であった。
・オランザピン(ジプレキサほか)の治療効果は比較的高く、あらゆる原因によるドロップアウト率はbuspironeで高かった。
著者らは「パロキセチン治療によって症状の重症度が有意に減少したことを除き、プラセボと比較した薬物療法の効果は小さかった。SADの第1選択薬には、パロキセチンが推奨されるであろう」としている。
出典
Williams T, et al. Acta Neuropsychiatr. 2020 Feb 10. [Epub ahead of print]